![]()
IAIとは、3D建築モデルデータを共有化し、
相互運用するための国際組織
一つの建物を作り上げ維持していく建物ライフサイクルの過程においては、多岐にわたる業種/分野の専門業者の技術やノウハウが活用されます。これら多様な専門業種は、それぞれ業種ごとに独自の技術・ノウハウを育ててきました。実際、各分野が使用しているCAD等のデジタルツールも、それぞれ独自に専門特化し、結果、他業種ツールとのとの情報共有や情報交換を難しくしてしまっています。このような環境では、プロジェクトの進行と共にプロジェクト情報の損失が拡大しかねません。当然品質の確保も難しく、時にコストアップやスケジュールオーバーなどの深刻な問題さえ発生していまいます。

この問題を解決するには、ソフトウェア上のデータ共有による幅広い相互運用が必要です。そこで1995年、米国建設業界は民間団体「IAI(International Alliance for Interoperability)」を設立。IAIはコンピュータを利用した高度情報化に対して標準化を図り、異なるソフトウェア・間で利用できるデータの共有化を目標に活動を開始しました。そして、3D建物モデルと属性情報をデータベース化し、これを相互に運用しながら効率を高めるBIMの原形を構想。そのカギとなる、3D建築モデルにおけるオブジェクトデータモデルの標準仕様として「IFC」(Industry Foundation Classes) を策定しました。
いまやIAIは世界に14の支部を置く国際組織となり、1996年にはIAI日本支部も発足しました。2004年に法人化して有限責任中間法人 IAI日本(※)となったIAI日本には、ゼネコン、サブコン、建築設計事務所、CADベンダーや大学等の研究機関など総計85団体が参加。福井コンピュータも創設期からその一員となっています。このIAI日本支部の組織は、最高決定機関である運営会議のもと、技術統合委員会とこれに属する7つの分科会で構成されています。このうち技術統合委員会は技術面の最高機関であり、IFC仕様に関する技術的検証を担い、分科会上位機関としてIFCへの日本仕様の反映を推進しています。
技術統合委員会のもと、7つの分科会はIFCにおける業務プロセス作りとIFCの日本仕様を作っています。福井コンピュータは、インプリメンテーション分科会と意匠クロス分科会、構造分科会、FAT分科会に参加。インプリメンテーション分科会と意匠クロス分科会ではユーザーのためのIFCを検討しており、その下部組織のガイドラインTFでは「日本版BIMガイドライン」を検討中です。また直近のテーマとしては、インプリメンテーション分科会では日本向けMVDの作成を進め、意匠クロス分科会ではIFCのモデルを使い「設計する土地や周辺環境」表現の研究を、また構造分科会では、ST-BridgeとIFCの連携を研究しています。またFAT分科会は日本唯一の仮想BIMコンペティション「Build Live」 の企画運営を担っています。
進化し続けるIFCと共に広がり続けるデータ連携
CADなどのソフトウェアで3Dの建築モデルデータを扱ってさまざまな作業を行う場合、その建物のいろいろな部位の幾何形状や部材の種類、材質、また寸法などの多様な属性を、コンピュータが理解できるような形式でデータ化することが必要です。この点IFCでは、たとえば「ドア」はドアを絵として表現する単純な線分の集合ではなく、あくまでドアとして認識できる特性を持った存在として定義されます。建築設計では、多様なドアが使われますが、IFCではたとえばサイズの異なるドアもそれぞれドアとして認識でき、IFC仕様で定義されている「ドア」の共通の特性も持っているのです。

IFCが持つ属性情報の例(IAI日本技術検討分科会資料より)

3D建築モデルで、ある部屋の法規チェックを行うためには、対象となる「部屋」という単位の情報が必要になります。IFCではこの「部屋」を壁やスラブ等で区切られた空間として定義。「IfcSpace」というオブジェクトにより、その部屋としての概念を表現します。この部屋オブジェクトには、部屋空間の3D形状やその名称、種別、面積、体積、空調等に関する情報が関連付けられます。また、部屋を囲む壁は「IfcWall」オブジェクトとして表現され、その3D/2D形状や種別、面積、体積、材質等の属性情報が関連付けられます。さらに壁はIFC定義により、空間境界でIfcSpaceのどの面と接しているか等の情報を始め、他の建物要素との接続や開口部分との包含関係情報も保持します。
このように、IFCにより建物のさまざまな部位に関して属性や空間的配置、部材同士の接続関係等が表現されることで、3D建築モデルデータを構造解析や積算、熱負荷計算、風量計算、避難経路検討等に活用できるのです。1997年1月の「IFC Release 1.0」以来、数々のリリースを経て進化し続けたIFCは、99年4月の「IFC Release 2.0」以降、実証実験を本格化。さらに数々のリリースを経て、設備・構造やGIS、形状表現拡張等にも対応し、2005年にISO/PAS16739(Publicly Available Specification)となっています。2008年春から正式な国際標準(IS/International Standard)を目指すNWI(New Work Item)化を開始し、この2011年中にISO化も実現する予定です。
まさに「BIM」実現のための切り札となるこのIFCに関して、国内外の主要ベンダーが、総力を上げてその入出力対応に取組んでいます。もちろん、私たち福井コンピュータも、IAI日本支部に最初期から参加するなど、早くから積極的な導入を推進してきました。そして「GLOOBE」や「J-BIM施工図CAD」等の主力BIM製品については、いち早くIFCファイル入出力への対応を実現しており、様々なBIMアプリケーション間における高精度な連携を実現しています。
- ※「有限責任中間法人」社員に共通する利益を図ることを目的とし、かつ剰余金を社員に分配することを目的としない社団。













